いちいちややこしい名前、また似た名前が多く、とくにAKI使用者以外はうんざりしてるんじゃなかろか。
とはいえこちらもJPの技わかるかっつうとアムネジアくらいしか見分けがつかないって具合なんでお互い様ではあるのだが、ともかくナニソレって思った技名を調べたメモを残してゆく。
※教えたげるねーってことじゃなく、知らなかったので調べた内容を雑に書きなぐるつもり
前提:竜生九子と四凶
りゅうせいきゅうし、という中国の伝説上の9体の生物を指す言葉がある。これは創作でもたまに出てくる言葉だからみたことある。
まんま、竜より生まれた9つの子のこと。
それぞれ姿形も性格も異なっている。各々の性格に合わせた場所で各々の活躍を見せるが、親である竜になることはできなかったという。これを「竜生九子不成竜」と言う。
竜生九子(Wikipedia)
儒教臭がキツい。
何がいいかって、「各々の活躍を見せるが、親である竜になることはできなかった」ってくだり。
命名した人がAKI自身なのか師のFANGなのかによって、
- 彼女が命名したのなら超えられない師への敬意を示しているように見える
- 師がつけたのなら劣化コピーでしかないという意味にも取れる
みたいな。
単なる竜の子としての名前なのか、誰かを竜と据えての命名なのかで含まれる雰囲気が変わるよねえと思っている。
ともあれ、大天使とか七福神とか八人衆とかの類と同じで、龍生九子も「こんな設定かっこよくね?」の産物なので、龍生九子の内訳はかなりバラバラでカオスだ。古代におけるミームだろうから、こういうものはしょうがない。
※龍生九子の設定がかっこいいかってとこは個人的にはかなり疑問がある。
四凶も雑さでは負けず劣らずで、「古代中国の舜帝に、中原の四方に流された四柱の悪神」とある。
舜帝ってあるけどバーチャファイターは関係ない。
睚眦(がいさい:龍生九子)
ヤマイヌの首をもち、気性が激しく荒く、争いや殺す事を好む。よって、刀の環(刀を佩びるための輪)や、剣の鯉口、武器や罪人を処刑するための鎌や矛に彫られ、古代(三国志時代)には軍旗などの図案に多く用いられた。
睚眦(Wikipedia)
SA3、CAの名称になっている睚眦は、気性の荒い動物の名が当てられている。毒は特に関係ない。
蚣蝮(はか:龍生九子)
水を好み、柱や雨樋、橋や、水路の出口の意匠として彫られる。中国の故宮などの建物の欄干からたくさん頭を突き出した龍に似た動物がこれである。
蚣蝮(Wikipedia)
これは、あれだ。思いついたけど特に設定詰めきれなかったから人気が出ず、元の情報が欠落しちゃったパターンだ。わかるぞ。わたしの黒歴史ノートにもそういう人物の設定がたくさん書いてあった。うるさいうるさい。
この蚣蝮はけっきょく、鬼瓦とかガーゴイル的な立ち位置を占めるに終わってしまった。影薄いな。
ちなみにジャンプ2大Pのことです。めくりヒットになる、嘘みたいに判定の小さいジャンプ攻撃。
あー、印象も判定も薄いよなー。なるほどなー。
蒲牢(ほろう:龍生九子)
蒲牢は3中Pで、中段判定の通常技の名前になってる。この手のは「中段」っていうから技の名前までは覚えない。
形状は龍に似ている。
蒲牢(Wikipedia)
蒲牢は吼えることを好むという。蒲牢が吼えるのは鯨に襲われている時とも、逆に襲っている時ともいわれ、または、蒲牢に襲われた鯨が吼えていて、それを蒲牢が好む、ともされる。故に梵鐘などの釣鐘の鈕(釣鐘上部の、吊るすために綱などを通す部分)の飾りとなり、鐘の音を大きく響かせるのを手伝っているという。
この鈕の事を日本では『竜頭』(りゅうず)と言う。腕時計の竜頭はこれに由来するとされる。
時計の竜頭の由来がこんなところにいた。
梵鐘って文字列を見ると頭痛がするんだよな。不思議だ。
背を反らせて上から殴るさまは、たしかに蒲牢の姿かもしんない。
螭吻(ちふん:龍生九子)
読めない。
螭吻は6大P。わたしモダンだからこの技知らないや。
恐ろしくリーチ長いけど使うの難しそうな技だなあ。ガード-4だけど遠いからお咎めなしって感じだろうか。
螭吻(ちふん)は、中国古代建築の部品で、竜生九子の一つ。
螭吻(Wikipedia)
姿は「獣に似ている」とだけ書かれ、古来はハイタカの尾を持つとされたようだが、唐代には魚の姿になった。鯨に似ているともされるが、確定したイメージは無い。
とうとう初手で「部品」言われるやつが出てきた。
シャチホコの原型と書いてある。あいつ螭吻だったのか。あちこちの屋根の螭吻の写真を探してみた感じ、姿はバラバラで適当だった。まあカッコよきゃいいんだわな。
囚牛(しゅうぎゅう:龍生九子)
螭吻は6大K。ブランカのダブルニーボンバーみたいに使えるかなと期待している。
姿は黄色い小さな龍の角と鱗を持つ。
囚牛(Wikipedia)
音楽を好み、琴や鼓の飾りになっている。
イー族の月琴、ペー族(白族:雲南省)の琴、他チベット系民族のいくつか楽器で見られる。
かわいい。
これは中国本土で思いついたやつってよりかは、田舎で好まれてた動物の話が龍生九子に数えられるようになったのかもしれない。根拠はないですが。
渾沌(こんとん:四凶)
混沌は小P>小Pのタゲコンの名前。
『荘子』においては、目、鼻、耳、口の七孔が無い中央の帝として、「渾沌」の表記で登場する。
渾沌(Wikipedia)
南海の帝・儵(しゅく)と北海の帝・忽(こつ)は、自分たちを手厚くもてなしてくれた渾沌の恩に報いるため、渾沌の顔に七孔をあけたところ、渾沌は死んでしまったという。
みためはこんなやつです。
見た目、設定、ストーリーまで全部終わっとる。ツッコミどころが渋滞を起こしている。
翼の生えた肉の袋が何をもてなすのか謎だし、お礼に穴開けたって感性がもう1ミリも理解できない。
だいたい顔ってどこだよ。
窮奇(きゅうき:四凶)
混沌は大P>大Pのタゲコンの名前。
中国最古の地理書『山海経』では、「西山経」四の巻で、ハリネズミの毛が生えた牛で、邽山(けいざん)という山に住み、イヌのような鳴き声をあげ、人間を食べるものと説明しているが、「海内北経」では人食いの翼をもったトラ で、人間を頭から食べると説明している。
窮奇(Wikipedia)
『山海経』にならって書かれた前漢初期の『神異経』では、前述の「海内北経」と同様に有翼のトラで、現在ではこちらの姿の方が一般的となっている。
人語を理解し、人が喧嘩していると正しいことを言っている方を食べ、誠実な人がいるとその人の鼻を食べる。悪人がいると野獣を捕まえてその者に贈るとしている。
設定の雑さが凄い。インターネットとかないころのあれだから、こうやってどんどん変質してくんだよね。願望を反映するというか。
贔屓(ひき:龍生九子)
そんな技あったのって感じですが前投げの名前が贔屓。
ごひいきに、のひいき。本当はひきっていうぽい。貝の文字がたくさんあるから、私はわりと長いこと貝かなんかの名前だと思ってたんだけど、どっこい亀だった。
その姿は亀に似ている。重きを負うことを好むといわれ、そのため古来石柱や石碑の土台の装飾に用いられることが多かった。
贔屓(Wikipedia)
日本の諺「贔屓の引き倒し」とは、「ある者を贔屓しすぎると、かえってその者を不利にする、その者のためにはならない」という意味の諺だが、その由来は、柱の土台である贔屓を引っぱると柱が倒れるからに他ならない。
「贔屓」を古くは「贔屭」と書いた。「贔」は「貝」が三つで、これは財貨が多くあることを表したもの。「屭」はその「贔」を「尸」の下に置いたもので、財貨を多く抱えることを表したものである。
重いものを背負うのが好きって設定、何食ってたら思いつくんだろうね。ぜんぜんカッコよくないじゃんね。
肝心の投げのモーションも、手で引っ張って足引っ掛けて転ばせてるので、背負っている成分はゼロです。なぜこの名前にしたんだ。
饕餮(とうてつ:四凶・龍生九子)
饕餮の「饕」は財産を貪る、「餮」は食物を貪るの意である。何でも食べる猛獣、という印象から転じて、魔を喰らう、という考えが生まれ、後代には魔除けの意味を持つようになった。
饕餮(Wikipedia)
饕餮はゲームにもよく出てくるから、みんな知ってるやつだ。だいたい終盤に出てくる、すごい強いモンスターとして表現されてる。
わりとあとになってから龍生九子に数えられた的なことも書いてある。
饕餮は人気だったから四凶と龍生九子を掛け持ちしてるんだろうね。
Wikipediaに饕餮を表現した漢文が書かれているのだが読めない。翻訳してみる。
西南方有人焉、身多毛、頭上戴豕。貪如狼惡、好自積財、而不食人穀。強者奪老弱者、畏群而擊單。名曰饕餮。
饕餮(Wikipedia)
《春秋》言饕餮者、縉雲氏之不才子也。一名貪惏、一名強奪、一名凌弱。此國之人皆如此也
南西に一人の男がいる。その体は毛深く、頭にはぼろ布を被っている。 彼は狼のように貪欲で、富める者であるが、人の穀物を食べない。 強き者は弱き者と老いた者を捕らえ、群れを恐れ、独り者とは戦う。 彼の名はタオティ。
《春秋年代記》によれば、タオティは島紋章一族の才能のない息子だという。 一人は冷淡で、一人は強者を奪い、一人は弱者を利用する。 この国の人間はみんなこうだ。
上の漢文をDeepLに読んでもらったもの。タオティが饕餮かな。
で、饕餮って名前はモンスター界ではかなり上位の地位を占めるとおもってたんだけれど、これがなんの技かっていうと後投げなんだよね。
もうちょっとつける先あったろ。なんで通常投げが饕餮なんだよ?
檮杌(とうごつ:四凶)
こんな技はないですが、四凶に数えられてる残りの1コなんでついでに載せとく。
いつか技の追加があったとき、この名前になるかもしれない。
『神異経』には「西方の荒地に獣がいる。形は虎に似ており、長さ二尺の犬の様な毛が生えており、人の顔、虎の足、豚の歯を持ち、尾の長さは一丈八尺あり、荒の中を撹乱している。その名を檮杌という」とある。
檮杌(Wikipedia)
ねえ、まともだけど!穴あけられて死んだ渾沌じゃなくてこっちの名前を先に使ったらいいじゃん!
カプコンのセンスわかんねえ。
蛇軽功(じゃけいこう)
これはモンスターの名前ではないやつ。
じゃけいこうって言葉はないっぽいが、軽功はある。武侠映画とかでよくみる、ワイヤーアクションで謎に空飛ぶやつが軽功。今風だとパルクール的な動作もだいたい軽功と言うっぽい。
なので水の上を走ったり、壁を走ったり、高いところから飛び降りたりみたいな色々をやっている。
ともあれ、蛇を模した軽功ということで蛇軽功。普通の人はあんな動きできないから、たしかに軽功だわね。
雁字搦(がんじがらめ)
悪鬼蛇行からのコマ投げの名前。
雁字搦め(がんじがらめ)の語源・由来について、諸説があり、ひとつは雁の編隊飛行のような形に人を縛ると、身動きが取れなくなることによる説。あるいは、強盛(がんじょうの唐音)から音変化したものかとの説もある。
雁字搦め【がんじがらめ】の名前の由来とは?|名前の由来語源なら《ユライカ》
なお、「雁字」とは、雁が整然と一列をなして飛ぶさまを文字に見立てていう語。
へー。字義と技のイメージは確かにマッチしてはいる。しかしなぜここだけ日本語なのか。
なんでなん。
おわり
龍生九子の説明に「各々の活躍を見せるが、親である竜になることはできなかった」ってあったけど、「でしょうね」って感想しか出てこない。
けっきょくWikipediaを巡回して「へー」ってなったことをコピペしただけに終止してしまった。
なんか微妙な怪物の名前が多くて肩透かしを食らっているが、技の名前ってことでいえば「中国の妖怪一覧(Wikipedia)」にあるように、まだまだネタにできそうな名前のストックはたくさんある。