なんてクリエイティブな作業なんだろうと思うんだよ。
前も書いたけど、どってことない肉の塊や野菜の束がすごいうまい夕ごはんに化けたりするじゃない。これが魔法でなくてなんなんだ。あたしすごい。ヨメすごい。
たとえば粉こねて発酵させてオーブンで焼くとパンができる。
こう書けば当たり前。でも自分でこねてオーブンで焼いたのを目の前にして、当たり前とは思えない。
そうか、焼くとパンになるんだなこれ、って思える。
自分で焼いたパンを手にとったことのない人は「あたりまえじゃんw」って言う。あたしも前は、そう言ったろう。
でもこれはぜんぜん、当たり前に焼けたものではない。

面白くて面白くて、また粉買ってきちゃった。
こんどは強力粉・全粒粉・スキムミルクを買い揃えた。つまりパン用ミックス粉からの脱却だ。たかだか2回焼いた程度のシロウトがこういう大ジャンプを企てていいものかわからないけど、いろいろやって好みのパン作れたら楽しい。失敗もするだろうけどいいんだ。

改まって言うほどのことでもないんですが、ここ一年くらい、もっとかもしれない。あたしほんと低調でありまして、テンション低い状態が続いてんですよ。
テンション低くなると、自信なくなるわけ。小さいミスに過敏になって必要以上に縮こまる。卑屈になんの。道の真ん中通る気になれないし人に会うの嫌だし新しい知人増やそうとかとても思えないわけ。
知ってる範囲でだけ動きたい。もっと小さい世界に閉じこもっていたい。
わりとそんな時期が長く続いていて、もともと根が暗いんですけど明るく振る舞うのも苦労するようになるわけです。人間関係の兼ね合い上、明るい感じの人ということになっているので。
面倒くさい。ペルソナの形成に失敗したんだなこれは。
#明るく振舞ってる時は楽しいんですよ。尋常でなく疲労するだけのことで。

そこいくと料理の単純さといったらないわけよ。あたし忘れっぽいんで前にも同じようなこと考えたりしてるんだろうけど。
べつに世の奥様をどうのこうのいうつもりはないよ。つーかお前らの生活なんぞ知るか想像すらしねえよ勝手にしろ。
脱線した。
もともと料理嫌いじゃないにしろ、なんでこうもお料理に限っては楽しく楽しくやって、夕食後から寝るまでの時間全部つかってパン焼いたりしてんだろうとか思うわけ。
ちょっと考えて気づいたのは、結果が出るの早いからかなあと。
剥いて切って煮て口に入れたら終わり。ごちそうさまでした。
出口が見えないどころじゃなく、入口入ってすぐ出口。仮に作るの大変でも食べるの一瞬だよね。このシンプルさ、紆余曲折の少なさが気に入ってるのかもなーと思います。
むろんこの紆余曲折がないというのは嘘で、味付けの加減良し悪し成功失敗、火の通し具合、包丁の入れ方、道具や素材選び、そして経験の蓄積という幾重もの層構造が存在してはいます。
が、実際に作るシーンそのものはシンプルなんですよ。
シンプルだし、善し悪しが一瞬で出るし、後に引かない。ヨメにしょっぱいパスタ食わせてすまんと謝ったら終わり(よくある)。
息抜きとしては非常に優れたホビーになっていると思います。

こういう良いサイクルで回っているものを、ひとつでも身に着けておきたいと思うから、妙な熱心さで台所にいるのかもしんない。
仕事や人間関係や、世の面倒くさいいろいろにこのサイクルをうまく持ってこれないもんかな。そしたら楽しくなるのに。

冴えない話をはさんじゃいましたけど、料理は楽しいって話です。

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